■≪歌舞伎バージョン≫の誕生ですね?
その前に、≪パイレーツ・バージョン≫と言うのを40歳代半ばに作ったのですが、この時はたった一日でできてしまったのです。ある時、家で『パレーツ・オブ・カリビアン』のサントラCDを聴きながら動いてみたら、自然に悪者キャラが出て来ました。これは行けるかも?…と感じて、翌日のショーで演じてみたら、これがまた大いに受けて…。
まだ、メークも衣装も≪ハッピィ・バージョン≫のままなのに、曲だけで行けちゃいました(笑)。
≪パイレーツ・バージョン≫は、≪ハッピィ・バージョン≫のアンチテーゼなので、とにかく怖くて無愛想な悪者が
悪戦苦闘するように進めれば良かったので楽でしたね。こんな風に、良い作品は得てして簡単に誕生しちゃうんです。
その後、歌舞伎に足を踏み込んだので、歌舞伎の見得とか六方とかも≪パイレーツ・バージョン≫に取り入れて、
それがまた見事にハマりました。怪しげな海賊が見得を切るなんて、いかにも歌舞いているじゃないですか(笑)。
■それが≪歌舞伎バージョン≫に繋がるのですね?
≪パイレーツ・バージョン≫で歌舞く事に成功したので、そのまま≪歌舞伎バージョン≫に行けると自信を持って1年間掛けて準備しました。ところが、用意周到に準備した方が難産になるのも良くある話で…。実際に演じてみると、
予想外の違和感があったんです。西洋風の海賊が見得を切ると歌舞くのに、和の歌舞伎の格好で見得を切っても、何故か歌舞かないんです。あんなに派手な隈取と衣装なのに、意外性がないんですね。「うわー、これは大変な事になったな」と頭を抱えました。≪パイレーツ・バージョン≫の方が明らかに面白いのに、このまま≪歌舞伎バージョン≫を演じても良いのか?と…。
でも、将来のためにはここで手を引いてはダメだ!と心に決めて、≪歌舞伎バージョン≫で攻める事にしました。
それに、ほんの思い付きでできた作品に、用意周到に準備した作品が負けたままと言うのも、悔しいじゃないですか。
よし、10年掛けて、≪パイレーツ・バージョン≫を超えるパフォーマンスに仕立てあげてやるぞ!と。
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